• 蔵のある家〜古民家再生ブロジェクト東条〜


    2019年ウッドデザインアワード「ウッドデザイン賞」受賞

    関西地区に展開する銘木店が行う古民家再生をデザイン。
    銘木店ならではの趣を随所に表現した。耐震改修の計画を行い、評点を現在の基準に合うよう引き上げることから始めた。この古民家がカフェや民泊施設、コミュニティーの場、個人邸になったとしても使いやすいよう、キッチン以外の水廻り空間は離れに設置。生活空間となる場所を全て離れに設けることにより母屋を最大限に使えるよう計画した。
    客人を迎える玄関には坪庭を配し鮮やかに彩り、銘木店のロゴをあしらった藍染の暖簾は京都の老舗店の職人が時間をかけて作ってくださった一点物。土間はお施主様の要望によりイタリアの大判タイルを使用しメンテナンスに気を配った。玄関の格子戸を開けると銘木の一枚板で作った象徴的な囲炉裏キッチン、壁掛け式ガスストーブFirewallが来る人をおもてなしできるよう設置した。
    囲炉裏キッチンは銘木会社が木の使い方を魅せることができるように、また海外から来られたお客様へ木の美しさを伝えるためにも設計された。床全体は床暖房を設置しているためオークの三層フロアを採用した。六軒続きの廊下の突き当たりには西陣織をアクセントに使用。古民家の持つ表情を引き立たせた。
    2箇所あった蔵のうち1つは離れから続く内蔵とし、住まい手が様々な用途で活用できるようにも配慮した。もう一方の蔵(外蔵)はダイニングからも黒柿の銘木の引き分け戸を介して眺められるようにし、蔵の持つ趣を最大限に活かせるようにした。
    漆喰を塗り直し、装いを新たにさらに歴史を継承していく。外部にはイギリスESSE社のキャンプエッセを設置し、人々が集まる時に外部で調理したり、炎を囲んだりと冬場も楽しめる場を設けた。

    【DATA】
    所在地 / 兵庫県加東市
    構造 / 木造
    築年数 / 180年

    設計:TBJインテリアデザイン建築事務所
    施工:株式会社ベターホーム