●FreeMagazine fd に神戸とんぼが取材・掲載されました
●WAttention France Vol.15"Kobe TONBO"掲載
WAttention France Vol.15"Kobe TONBO" 日本語訳
JR神戸線「神戸駅」は、神戸の中心駅となる三宮から西に二つ目にある。
駅舎は阪神淡路大震災にも耐えた建築で、昔からの神戸の雰囲気を残している。
その駅から徒歩5分ほどのところにある「とんぼ」は、昨年夏にオープンしたレストランで、予約のみを受け付けている。ランチの対応はなく、ディナーだけを提供している。
食材は近郊で採れたものを主材とし、オーナーシェフがカウンターに大きくしつらえられた鉄板の上で焼く。あるいは温める。
この鉄板の厚みは明かされていないが、見るところ20ミリ以上の厚みがあるのだろう。
見事に焼きあがる肉の旨さが、その厚い鉄板から伝わる熱の加減に依るものであることが直ぐにわかる。
神戸は兵庫県という、日本でも有数の食材の宝庫を背景に持つため、有名な神戸肉だけでなく、野菜類の豊かさにも事欠かない。
それをシェフが、日毎の食材を選りすぐり、その日のメニューを決めるのである。
基本的に順序よく出されるメニューが基本だが、試しに何を食べてみたいかを鉄板の前に立つシェフに伝えてみると良い。
それによって、あなたはそれまでの満足に加えてあらたな快感を見出すことだろう。
苦手な食材がある場合は、最初にそれを伝えておいても良い。それに応えて即興で見事な演奏を奏でてくれるだろうから。
ディナーはコースとして出されるので、ベースとなる値段は1万1千円から。多少のオーダーがあってもさほど変わらない価格で提供してくれる。
また、あなたにワイン、酒の好み、知識が豊富なら、それも伝えておきたいところだ。
求めるものがなくても、寡黙に見えるシェフは、料理とあなたの嗜好に合うものを選んでくれるだろう。
私がこの「とんぼ」を紹介したくなったのは、こうした食事のやり取りからだけではない。
店の佇まいが大いに気に入ったからである。
一見すると、気づきにくいところに、店のコンセプトに合った意匠が凝らされているからである。
大きな鉄板を囲むカウンターだけの室内はゆったりとしていて、料理の前にお酒を十分に楽しむこともできる。
また、別室が用意され、5~10名程度がテーブルを囲める会食席が設けられている。
そして、壁や梁、そして日本独特のインテリアでもある「欄間:RANMA」や「型紙:KATAGAMI」をモチーフにしたグラフィカルなイメージ。壁土を見てみると、それは京都の土で作られる伝統的な色合いを表現するものであり、それらを眺めているだけで飽きない。
食後に、私の悪い癖と言えるのだが、少しキツイ酒が呑みたくなった。日本料理の店なのだが、ここは150年以上欧州との拠点となった神戸である。「カルヴァドスがあれば…」
オーナーは笑顔でそれをバカラのグラスに注いでくれたのである。
text Yoshiaki TAKAFUJI
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